日高新冠の次はいしかり散歩の取材で、支笏湖丸駒温泉旅館へ。鵡川、厚真を通り苫小牧
市街から支笏湖へ向かった。途中の道も雪はすっかりなく、走りやすかったが支笏湖に
近づくにつれて気温は低くなっていくのが分かる。支笏湖温泉街も冬は駐車場は無料。
車を停めて湖畔側へ向かった。この時期は観光客も少ないのだろうけど、お土産屋や
食堂などもしっかり営業していた。湖畔側へ降りると恒例のアジア系団体観光客がいる。
去年、以前来た時もほとんどアジア系の団体かと思う程、ここは外国の人には人気の
スポットなのかもしれない。1月から2月中旬まで開催していた支笏湖氷濤まつり 2015
の名残だろうか、氷の残骸が残っていた。
支笏湖氷濤まつりはまだ見たことがないので、今度は機会があればぜひ見てみたい。
支笏湖には建築家田上義也の設計したユースホステルが、今も残っているはず。
駐車場の奥に、よく見ると三角屋根が見える。近くまで行ってみると、ここだ。
これも田上作品。道内のユースホステルの設計も多く手がけ、まだ現役で田上作品が
残っているが、ここも取り壊されることなく保存していって欲しいものだ。
3時も過ぎて旅館へチェックイン出来る時間になり、目的地の丸駒温泉旅館へ。
道道から細い道に入り、しばらく進むと湖畔側にその建物はある。
以前来た時にはもっと木造的な造りだった気がしたが、それももう十数年前のこと。
ここの旅館は3階建て。しかし見えるのは2階建て。実は入り口部分は2階で
この下に1階があるのだ。湖面の斜面に建っているのでそんな造りになっているらしい。
部屋は和室。今回はビジネスプランなので部屋は山側。部屋の造りは普通な感じだ。
着いて早速、温泉に入ってみよう。温泉部分はリニューアルしたのか、きれいな
造りになっていた。内風呂からも支笏湖が望めるきれいな景色だ。
外の展望露天風呂へ出てみると、目の前には支笏湖が広がる。お風呂に入りながらの
この眺めは最高だろう。今日は天気も曇りだが、晴れていたり違う季節になれば
また表情も違うのだろう。しかし、以前来た時には集中豪雨による土砂崩れの後だった
ので、湖にも泥が流入して湖水の色がマリンブルーのようになっていたが、今は
それもなくなり元の支笏ブルーに戻っていた。
湖にこんなに近い温泉も珍しいかもしれない。テラスの下はもう湖面だ。
目の前には桟橋も見える。災害の時はこの桟橋から船で対岸の温泉街に避難したようだ。
夏の支笏湖は何度も見ているが、冬の支笏湖ははじめて。冬もまたいいものだ。
展望露天風呂の次は、いよいよお待ちかねの天然露天風呂へ。長い廊下を渡り下へ
降りていく。冬はちょっとこの長い廊下は寒いかもしれない。
入口には日本秘湯を守る会の提灯が。そう言うものがあるらしいが秘湯の全国ランキング
では道内から14位に旭岳温泉湧駒荘が入っていたが、ここ丸駒温泉も道内三本の指
には入っていた。もうひとつは昆布温泉鮎川旅館らしい。では、露天風呂へ。
ここの露天風呂は操業以来変わらない造りらしい。天然の岩がそのまま使われている。
目の前の支笏湖の湖面と一体になっているため、湖面が上昇すると湯船の水位も当然
上がる。今は少ない時期で50から60センチくらいだろうか。これが12月頃に
なると150センチくらいに水位があがるので、当然立ち湯になる。だから、小さい
子供なんかは当然溺れてしまうので、入れないだろう。お風呂の下には砂利が
敷いてあり、そこから湯が沸いているようだ。
向こうの気の塀の向こう側は女風呂。ここは入れ替えはないので、向こうのお風呂が
どんな感じなのかは分からないが、どんな造りか見てみたいものだ。日帰り入浴も
やっているが、この日は人も少なかったので温泉の写真も撮れてよかった。
ここの温泉旅館は今年で開湯百年を迎えるようで、フロント横や廊下には百年の
歴史パネルが飾ってある。でも、昔の雰囲気やいろいろな歴史が分かり面白かった。
へ〜〜昔はこんな感じだったのだと納得。でも昔は陸路もなく船での渡しだけだった
ようで、でもそれもまた味わいがあったのかもしれない。
今日は平日だが結構、宿泊客も多く団体さんも入っている。でもさすがにアジア系は
いなかったので落ち着いた雰囲気。その代わりお年寄りの団体さんで賑わっていた。
廊下を挟んで向いの部屋のは団体のおじいさんやおばあさんたちが宿泊している。
部屋からは麻雀の音も聞こえて、なんか懐かしい雰囲気がする。今回のプランは
夕食は部屋食だったので、ゆっくりと寛ぎながら食べれてよかった。量も丁度
いいくらい。いつもならバイキングでついつい食べ過ぎてしまうが、それもない。
食後にはまたお風呂へ。まあテレビを見ることぐらいでやることもないので、結局
部屋とお風呂の行ったり来たり。夜の露天風呂も味わいはある。
向こうの対岸の温泉街の明かりが見える。でも外は真っ暗。恐がりな人ならこの感じは
ちょっと恐いのかもしれない。夜の写真はあまりきれいには撮れないが、こんな感じだ。
結局、この日も早い眠りについて早朝、支笏湖に登る朝日を楽しみにしていたが、
次の日の朝は曇り。しかもかなり曇っていて、向こうに見える山並みも見えない。
でもこれはこれで、雲の隙間から朝日が湖面に注すのが見れて神秘的かも。
帰りに支配人とも話しもできて、しかも出来たばかりの百年史誌もいただき感謝。
フロントのカウンターには古い招き猫が置いてあった。まねき猫コレクターとしては
とても気になる逸品だった。
いしかり散歩の取材も終わり、チェックアウト。支配人に見送られて宿を後に。
帰りは435号線を通って札幌へ。道路も雪がなく、交通量も少なかったので
思いのほか早く札幌に到着。途中、土砂崩れで通行止めになった場所も今は
すっかり元通りだが、その爪痕が伺える場所もいくつかあった。
しかも帰りには道路にエゾシカが出て来てたりして、確かに雄大な自然に包まれた
秘湯にふさわしい場所かもしれない。また今度違う季節に来てみよう。
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